定積分が定める関数はいつ連続関数になるか

定積分が定める関数の連続性について考えることは、関数の基本的な性質を理解する上で非常に重要なトピックです。この性質は、実解析における基本的な結果であり、微分積分学の理解にとっても鍵となります。

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定積分が定める関数はいつ連続関数になるか

具体的には、\([a, b]\) を\(\mathbb R\)の閉区間とし、\(f(t)\) を\([a, b]\) 上の可積分関数とします。このとき、

\begin{align*} F(x) = \int_{a}^{x} f(t) dt \end{align*}

という関数を考えることができます。この関数\(F(x)\)が\([a, b]\)連続であるかどうかは、関数\(f(t)\)の性質に依存します。

可積分関数\(f(t)\)が\([a, b]\)上で有界であるとき、\(F(x)\)は\([a, b]\)上で連続であることが知られています。

それでは実際に証明してみましょう。

\(x \in [a, b]\) に対して、\(F(x)\)が連続であることを示すためには、任意の点\(x\)と任意の正の数\(\epsilon\)に対して、ある正の数\(\delta\)で、\(y \in [a, b]\) が\(|x-y| < \delta\)ならば\(|F(x) – F(y)| < \epsilon\)となるものが存在することを示せばよいです。

\(F(x)\)と\(F(y)\)の差の絶対値に注目して、次のように式変形します。

\begin{align*} |F(x) – F(y)| &= |\int_{a}^{x} f(t) dt – \int_{a}^{y} f(t) dt| \\&= |\int_{y}^{x} f(t) dt| \\&\leq \int_{y}^{x} |f(t)| dt \\&\leq \left(\sup_{t \in [a, b]} |f(t)|\right) |\int_{y}^{x} dt| \\&= \left(\sup_{t \in [a, b]} |f(t)|\right) |x-y|. \end{align*}

ここで、\(M = \sup_{t \in [a, b]} |f(t)| \)と書くことにします。

\(\epsilon\)が任意の正の数であるとして、\(\delta = \frac{\epsilon}{ M }\)とします。すると、\(|x-y| < \delta\)のとき、次のようになります。

\begin{align*} |F(x) – F(y)| \leq M |x-y| < M \frac{\epsilon}{M} = \epsilon. \end{align*}

これは、\(F(x)\)が\(x \in [a, b]\)で連続であることを示しています。これで証明を終了します。

おまけ

このことから、

命題

\(f(t)\)が\([a, b]\)上で連続であるとき、\(F(x)\)は\([a, b]\)上で連続である。

ということが言えます。

なぜかというと、\(f(t)\)が\([a, b]\)上で連続であるとき、\([a, b]\) で最大値最小値をもつので、\(f\) は\([a, b]\) 上で有界となるからです。

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出典:https://www.chart.co.jp/goods/item/sugaku/39952.php
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