微分が0になる超関数は定数関数に限ることの証明を書きます。
微分が0になる超関数は定数関数に限ることの証明
1次元の場合をみてみます。\(\mathcal D\) でコンパクトな台をもつ\(\mathbb R\) 上の滑らかな関数全体を表します。
以下の投稿を参考にしました。
少しだけ自分で補足を加えました。
事前準備:原始関数の存在と積分が消えることの必要十分性
\(f \in \mathcal D\) に対して、
(1)に対して\(F \in \mathcal D\) で\(F^\prime = f\) を満たすものが存在する。
(2)
\begin{align*} \int_{\mathbb R} f(x) dx = 0\end{align*}
であること。
は必要十分です。
(1)ならば(2)は, \(\int_a^b f(x) dx = F(b) – F(a)\) なので、\(a, b\) の極限を考えることで示されます。
(2)ならば(1)は、
\begin{align*} F(x) = \int_{-\infty}^x f(s) ds \end{align*}
と定めると、\(F\) は滑らかであることが確認できます。また、
十分大きい\(R > 0\) をとれば、
\begin{align*}\int_{-\infty}^{-R} f(s) ds = \int_{-\infty}^{-R} 0 ds = 0 \end{align*}
であることと、
\begin{align*} 0 = \int_{-\infty}^\infty f(s) ds = \int_{-\infty}^R f(s) ds + \int_{R}^{\infty} f(s) ds = F(R) + 0 \end{align*}
であることから、\(F\) はコンパクトな台を持つことも確かめられました。
微分が0になる超関数は定数関数に限ることの証明
\(u\) を微分が\(0\) になる超関数とします。
任意の\(f \in \mathcal D\) をとります。\(\varphi \in \mathcal D\) で\(\int_\mathbb R \varphi = 1\) を満たすものを取ります。
\begin{align*} g = f – (\int_\mathbb R f dx) \varphi \end{align*}
と定めると、
\begin{align*} \int_{\mathbb R } g dx = 0 \end{align*}
となることが確かめられます。
従って、事前準備のところで書いたことから\(G \in \mathcal D\) で
\begin{align*} G^\prime = g \end{align*}
を満たすものがとれます。\(u\) の超関数としての微分が\(0\) であることから、
\begin{align*} 0 &= (u, G^\prime) = (u, g ) \\&=(u, f – (\int_\mathbb R f dx) \varphi ) \end{align*}
が得られます。従って、
\begin{align*} (u, f) = (u, \varphi) (\int_\mathbb R f dx) = ((u, \varphi)1, f) \end{align*}
が得られます。
\begin{align*} (u, \varphi)1 \end{align*}
は定数関数なので、無事主張が従います。
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