片側フーリエ変換の閉複素半平面への連続な拡張

片側フーリエ変換の閉複素半平面への連続な拡張について、一緒に探求してみましょう。さらに、その拡張がどのように振る舞うのか、そして零点がどのように分布するのかについても探求します。

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片側フーリエ変換の閉複素半平面への連続な拡張

急減少関数\(f \in \mathcal S\) に関して片側フーリエ変換を定義します。それは\(F_+ f (\xi )\)と表され、具体的には次のような形になります。

\begin{align*} F_+ f (\xi ) = \frac{1}{\sqrt{2 \pi }} \int_0^\infty e^{- i \xi x } f(x) dx \end{align*}

次に、\(\mathbb C_{-}\)という記号を導入します。

\begin{align*} \mathbb C_{-} = \{ z \in \mathbb C \mid \textrm{Im}(z) < 0 \}\end{align*}

により定めます。これは複素数平面上の下半平面を表しています。つまり、虚部が真に負の複素数全体の集合です。

さて、次に拡張を考えます。\(\zeta \in \mathbb C_-\) 上の関数

\begin{align*}F_+ f (\zeta ) = \frac{1}{\sqrt{2 \pi }} \int_0^\infty e^{- i \zeta x } f(x) dx \end{align*}

を考えることにします。

\(\xi = \alpha + i \beta \) とすると、\(\bar{\zeta}\) に関して微分が\(0\)であれば正則であるので、

\(\partial_{\bar{\zeta}} = \frac{1}{2}(\partial_{\alpha } + i \partial_\beta)\) 

であるので

\begin{align*} |\partial_\alpha e^{- i (\alpha + i \beta) x } f(x) | = |e^{\beta x} x f(x)|  \end{align*}

\begin{align*} |\partial_\beta e^{- i (\alpha + i \beta) x } f(x) | = |e^{\beta x} x f(x)|  \end{align*}

という等式を得ます。

\(f \in \mathcal S\) なので, \(|x f(x)| \in \mathcal S\)であることをを踏まえて、\(\beta < 0\) のときには、

\begin{align*} |\partial_{\bar{\zeta}}  e^{- i \xi x } f(x)| \leq  |e^{\beta x} x f(x)| \in L^1([0, \infty))  \end{align*}

が成り立ちます。

このことから、積分と微分を交換できて、

\begin{align*}\partial_{\bar{\zeta}}  e^{- \zeta x } =  0 \end{align*}

なので、

\begin{align*}\partial_{\bar{\zeta}} F_+ f (\zeta ) = 0  \end{align*}

となり、\(F_+ f (\zeta ) \) が\(\beta < 0\) すなわち、\(\mathbb C_{-}\)の範囲で正則であることがわかります。

\(\beta \rightarrow 0\) でもとの関数と一致することを確かめておきましょう。

\begin{align*}\frac{1}{\sqrt{2 \pi }} | \int_0^\infty e^{- i(a + ib) x } – e^{- i a x}  f(x) dx|  \end{align*}

に収束定理を用いるとよいでしょう。

従って、\(F_+ f (\xi )\) の複素平面の\(\overline{\mathbb C_{-}}\)への連続な拡張で\(\mathbb C_{-}\) で正則であるもの

が\(F_+ f (\zeta ) \) であることがわかります。

おまけ:一致の定理について

\(c\) を適当に\(0\) でない定数とする。

\(F_+ f (\xi )\) が\(| \xi | \rightarrow \infty\)においてリーマンルベーグの補題より\(0\)に収束することから、

\(c  +F_+ f (\xi )\) が\(| \xi | \rightarrow \infty\)において\(1\) に収束する。

従って、\(c  +F_+ f (\xi )\) の零点は十分大きな半径\(R > 0\) の開球を考えると

\begin{align*} \bar{\mathbb C_{-}} \cap B(0 ;R)\end{align*}

の中にすべて含まれます。

\(\mathbb C_{-}\) で零点が集積していると、\(\mathbb C_{-}\) で正則であることから\(c  +F_+ f (\xi )\)は$\mathbb C_{-}$ で恒等的に\(0\) となり、従ってその\(\overline{\mathbb C_{-}}\) への連続な拡張も恒等的に\(0\)となります。

従って、連続な拡張においても零点は集積しないことがわかります。

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