deferredキャッシュフローの修正デュレーションの計算方法を解説

投資やリスク管理の分野では、キャッシュフローのタイミングや金額の変動を考慮した評価が非常に重要です。
特に、キャッシュフローが将来に繰り延べられる場合(Deferred Cash Flows)、その評価には特別な注意が必要です。
本記事では、「Deferredキャッシュフロー」に対する修正デュレーションの計算方法を解説します。

各期の金利を\(i\)として、\(n\)期末に\(C_n\)が発生するキャッシュフローを考えます。
割引を\(v = \frac{1}{1 + i}\)と表記することにします。
このキャッシュフローの修正デュレーションは
\begin{align*} modD = v \frac{\sum_{t = 1}^T t v^{t} C_t}{\sum_{t = 1}^T v^{t} C_t} \end{align*}
で与えられます。

ここで、キャッシュフローの発生時期が後ろ倒しになる状況を考えます。
\(S\)期あとにずれる状況を考えてみます。
つまり、\(1\)期から\(S\)期には発生するキャッシュフローは\(0\)で、
\(S+1\)期末に\(C_1\)、\(S+2\)期末に\(C_2\)、というふうに、
\(S+n\)期末に\(C_n\)が発生するキャッシュフローを考えます。
修正デュレーションの計算は次のように変化します。
\begin{align*} modD = v \frac{\sum_{t = 1}^T (t+S) v^{t+S} C_t}{\sum_{t = 1}^T v^{t+S} C_t} \end{align*}

これを実際に計算してみましょう。
オリジナルの修正デュレーションを\(mod D\)で、
そしてこの、新しい方の修正ディレーションを\(mod \tilde D\)と表記することにすると。
\begin{align*}mod \tilde D &= v \frac{\sum_{t = 1}^T (t+S) v^{t+S} C_t}{\sum_{t = 1}^T v^{t+S} C_t}
\\&= v \frac{ v^S \cdot \sum_{t = 1}^T (t+S) v^{t} C_t}{v^S \cdot \sum_{t = 1}^T v^{t} C_t}
\\&= v \frac{ \sum_{t = 1}^T (t+S) v^{t} C_t}{ \sum_{t = 1}^T v^{t} C_t}
\\&= v \left( \frac{ \sum_{t = 1}^T tv^{t} C_t}{ \sum_{t = 1}^T v^{t} C_t} + \frac{ \sum_{t = 1}^T S v^{t} C_t}{ \sum_{t = 1}^T v^{t} C_t} \right)
\\&= mod D + v S \end{align*}
と求めることができました。

命題

キャッシュフローの発生が\(S\)期後ろ倒しになった場合のキャッシュフローについて、
オリジナルの修正デュレーションを\(modD\)、後ろ倒しの修正デュレーションを\(mod \tilde D\)
で表記することにすると、
\begin{align*} mod \tilde D = mod D + v S \end{align*}
で与えられる。

このことから特に、マコーレーデュレーションの場合には、後ろ倒しになった期間分だけそっくりそのままデュレーションが足されることがわかります。

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