ローンを組むとき、毎月支払う金額が一定になる元利金等返済はとても一般的です。この仕組みを理解することは、金融計画にも役立ちます。この記事では、この元利金等返済の公式を、できるだけ簡単に説明します。
元利均等返済は、毎月の返済額が一定になる返済方法です。つまり、借りたお金(元本)と利息を合わせた金額を均等に支払います。最初のうちは、利息の支払いが多く、元本の減りは少ないですが、徐々に利息は減り、元本返済の割合が増えていきます。
毎月の返済額が一定なので、家計の計画が立てやすいです。支出が予測できるため、他の出費とのバランスを取りやすくなります。
理論を学んだ後は、実際に自分のローンの元利金等返済額を計算してみましょう。
月利\(r\)%で, \(L\)円を借りるとします。
毎月末に\(R\)円ずつ, \(n\)回払いで返済することにします。このとき、
\begin{align*} L = R \frac{1}{1 + r}\frac{1 – \left(\frac{1}{1 + r} \right)^n }{1 – \frac{1}{1 + r}}\end{align*}
という関係が成り立ちます。
また、\(v = \frac{1}{1 + i}\)という記号(割引率の記号です)を用いると、
\begin{align*} L = R v \frac{1 – v^n}{1 – v}\end{align*}
と、すっきり書くことができます。
このことを証明してみましょう。
ローンの残額の推移を追ってみましょう。
最初に借りた時点では、
\begin{align*} L \end{align*}
です。
1回目の支払い直後は、
\begin{align*} L(1+r) – R\end{align*}
です。
2回目の支払い直後は、
\begin{align*} \left(L(1+r) – R \right)(1+r) – R \end{align*}
です。
式を変形すると、
\begin{align*} L(1 + r)^2 – R(1 + r) – R\end{align*}
となります。
3回目の支払い直後は、
\begin{align*} \left(\left(L(1+r) – R \right)(1+r) – R \right)(1 + r) – R \end{align*}
です。
式を変形すると、\begin{align*} L(1 + r)^3 – R(1 + r)^2 – R(1 + r) – R\end{align*}となります。
これを繰り返していくと、
\(n\)回目の支払い直後は、
\begin{align*} L(1 + r)^n – R(1 + r)^{n-1} – R(1 + r)^{n-2} – \cdots – R(1 + r) – R \end{align*}
となります。
\(n\)回目の支払い直後に値が\(0\)となるように\(R\)を定めるため、
\begin{align*} L(1 + r)^n – R(1 + r)^{n-1} – R(1 + r)^{n-2} – \cdots – R(1 + r) – R = 0\end{align*}
が成り立ちます。つまり、
\begin{align*}L(1 + r)^n = R(1 + r)^{n-1} + R(1 + r)^{n-2} + \cdots + R(1 + r) + R \end{align*}
が得られます。
このまま命題を証明してもよいのですが、
見やすくするために両辺を\((1+r)^n\)で割ります。
すると、
\begin{align*} L = R \left(\frac{1}{1 + r} \right) + R \left(\frac{1}{1 + r} \right) ^2 + \cdots + R \left(\frac{1}{1 + r} \right) ^n \end{align*}
が得られます。
割引率\(v = \frac{1}{1 + r}\)の記号を用いると、
\begin{align*} L = Rv + Rv^2 + Rv^3 + \cdots Rv^n \end{align*}
という式が得られます。これは、全ての支払いの割引現在価値が元本と一致することを意味しています。
\begin{align*} R v + R v^2 + \cdots + Rv^n \end{align*}
はシンプルに最初の項が\(Rv\)、等比が\(v\)の数列の\(n\)項の和なので、
\begin{align*} R v \frac{1 – v^n}{1 – v}\end{align*}
となり、
\begin{align*} L = R v \frac{1 – v^n}{1 – v}\end{align*}
が得られました。
あらためて\(v = \frac{1}{1 + r}\)を代入してやることで、
\begin{align*} L = R \frac{1}{1 + r}\frac{1 – \left(\frac{1}{1 + r} \right)^n }{1 – \frac{1}{1 + r}}\end{align*}
も得られます。
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