アーラン分布の生存関数を計算する方法を解説!!

アーラン分布の生存関数をポアソン分布から計算する方法を解説します。
最初にアーラン分布を思い出しておきましょう。

定義:アーラン分布

正の整数\(k\)と正の実数\(\mu\)をパラメータとするアーラン分布とは、
確率密度関数
\begin{align*} f(x) = \begin{cases} \frac{\left(\frac{1}{\mu} \right)^k x^{k-1}e^{- \frac{1}{\mu}x}}{\Gamma(k)} &(x \geq 0 ) \\ 0 & (\text{otherwise}) \end{cases}\end{align*}
により定まる分布でした。

生存関数\(S(x) = 1 – F(x)\)を計算してみましょう。
素直に積分を計算する方法と、ポアソン分布との関係を使って計算する方法があります。

素直に積分で計算する方法

\begin{align*} S(x)
&= \int_x^\infty \frac{\left(\frac{1}{\mu} \right)^k \xi^{k-1}e^{- \frac{1}{\mu}\xi}}{\Gamma(k)} d\xi
\\&= \frac{\left(\frac{1}{\mu} \right)^k}{\Gamma(k)} \left[ \left( \xi^{k-1} \mu +{}_{k-1}P_1 \xi^{k-2}\mu^2 + {}_{k-1}P_2 \xi^{k-3}\mu^3 + \cdots (k-1)! \mu^k \right) e^{ – \frac{1}{\mu} \xi} \right]_x^\infty
\\&= \frac{\left(\frac{1}{\mu} \right)^k}{\Gamma(k)} \left( \,-\, x^{k-1} \mu \,-\, {}_{k-1}P_1 x^{k-2}\mu^2 \,-\, {}_{k-1}P_2 \xi^{k-3}\mu^3 \,-\, \cdots (k-1)! \mu^k \right) e^{ – \frac{1}{\mu} x}
\end{align*}
と計算できます。指数分布に係る部分積分を効率的に計算する方法は下の記事で解説しています。

ポアソン分布を利用して計算する方法

アーラン分布は、指数分布の\(k\)個の足し合わせでした。
つまり、\(X \sim \Gamma(k, \frac{1}{\mu})\)は、単位時間あたり発生回数が平均\(\frac{1}{\mu}\)のポアソン分布に従うイベントが、\(k\)回発生するまでの時間を表現しています。
そこで、単位時間発生回数が平均\(\frac{1}{\mu}\)のポアソン分布は、\(x\)時間で平均\(\frac{1}{\mu}x\)回発生するので、\(Y \sim Po( \frac{1}{\mu}x )\)として
\(P(X > x) = P(Y < k) = e^{- \frac{1}{\mu}x} \left(\frac{ \left( \frac{1}{\mu}\right)^0}{0!} + \frac{ \left( \frac{1}{\mu}\right)^1}{1!} + \cdots + \frac{ \left( \frac{1}{\mu}\right)^{k-1}}{(k-1)!} \right)\)
と計算することができます。
これは普通に積分で計算したときの結果と一致しています(少し表現は違いますが、一致していることが確認できると思います)。

いかがでしたでしょうか。個人的には、素朴に計算した方が良いと思います。

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