離散一様分布の期待値と分散の導出をわかりやすく解説

この記事では、離散一様分布の期待値と分散の導出をわかりやすく解説します。

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離散一様分布の期待値と分散の導出をわかりやすく解説

定義: 離散一様分布

整数値確率変数\(X\)は
\begin{align*} P(X = n) = \begin{cases} \frac{1}{b – a + 1} &(n \in \{a, a+1, \ldots, b\}) \\ 0 & (n \notin \{a, a+1, \ldots, b\})\end{cases}\end{align*}
であるとき、離散一様分布に従うという。
\begin{align*} X \sim DU(a; b)\end{align*}
により表す。

例えば、\(X\)が\(\{1, 2, 3, 4, 5, 6\} \)に値をとり、離散一様分布に従う場合は、
\begin{align*} P(X = 1) = P(X = 2) = P(X = 3) = P(X = 4) = P(X = 5) = P(X = 6) = \frac{1}{6}\end{align*}

命題: 離散一様分布の期待値

\begin{align*} X \sim DU(a; b) \end{align*}
とする。
\begin{align*} E(X) = \frac{a + b}{2}\end{align*}

証明
\begin{align*} E(X) &= \sum_{k = a}^b k P(X = k) \\&= \frac{1}{b-a+1} \sum_{k = a}^b k \\&= \frac{1}{b-a+1} \cdot \frac{(b- a + 1) (a + b)}{2} \\&= \frac{a + b }{2} \end{align*}

例えば、サイコロは値を\(\{ 1, 2, 3, 4, 5, 6\}\)にとる離散一様分布です。
サイコロの出る目の期待値は\(\frac{1 + 6}{2}\)です。
特に、\(\{1, \ldots, n\}\)に値をとる場合は次のようになります。

系: 離散一様分布の期待値

\begin{align*} X \sim DU(1; n) \end{align*}
とする。
\begin{align*} E(X) = \frac{1 + n}{2}\end{align*}

次に、分散を導出したいのですが、その前に準備をしておきましょう。

命題: 離散一様分布の2乗の期待値

\begin{align*} X \sim DU(a; b) \end{align*}
とする。
\begin{align*} E(X^2) = \frac{2a^2 + 2 ab + 2 b^2 – a + b}{6} \end{align*}
である。

証明
\begin{align*} E(X^2) &= \sum_{k = a}^b k^2 P(X = k)
\\&= \sum_{k = 1}^b k^2 P(X = k) – \sum_{k = 1}^{a – 1} k^2 P(X = k)
\\&= \frac{1}{b-a+1} \frac{b (b+1)(2b+1)}{6} – \frac{1}{b-a+1} \frac{(a-1)a(2a -1)}{6}
\\&= \frac{2a^2 + 2 ab + 2 b^2 – a + b}{6}
\end{align*}

では実際に分散を求めてみましょう。

命題: 離散一様分布の分散

\begin{align*} X \sim DU(a; b) \end{align*}
とする。
\begin{align*} V(X) = \frac{(b- a)(b + 2 – a)}{12} \end{align*}
である。

証明
\begin{align*} V(X) &= E(X^2) – E(X)^2
\\&= \frac{2a^2 + 2 ab + 2 b^2 – a + b}{6} – \left( \frac{a + b}{2} \right)^2
\\&= \frac{2a^2 + 2 ab + 2 b^2 – a + b}{6} – \frac{a^2 + 2ab + b^2}{4}
\\&= \frac{a^2 – 2 ab + b^2 – 2a + 2b}{12}
\\&= \frac{(a- b)(a – b -2)}{12}
\\&= \frac{(b- a)(b + 2 – a)}{12}\end{align*}

よく使われる形として次の形の公式があります。

系: 離散一様分布の分散

\begin{align*} X \sim DU(1; n) \end{align*}
とする。
\begin{align*} V(X) = \frac{(n- 1)(n + 1)}{12}\end{align*}
である。

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