生存関数から期待値を求める方法を解説!!!

今回は、生存関数を用いて確率変数の期待値を求める方法について詳しく解説します。
数学的な導出だけでなく、直感的な理解や具体的な例も交えて説明していきます。

定義

確率変数Xに対して、
S(t)=P(tX)
Xの生存関数といいます。

期待値は、生存関数の積分によって表現することができます。
どういうことかというと、

定理

Xを非負の値をとる確率変数とする。SXの生存関数とすると、

E(X)=0S(t)dt

今回は、Xが非負値をとる連続型で、確率密度関数fをもつ場合に限って話を進めていきます。
任意のn、部分集合ARnに対して、χAで, A上の定義関数を表すことにします。

任意の(x,t)R2に対して、
χ[t,)(x)=χ[0,x](t)
であることをリマインドしておきます(念の為ですが、上記式は関数として一致というわけではなく実数値としていつでも一致するということです)。


0S(t)dt=0(tf(x)dx)dt=0(0χ[t,)(x)f(x)dx)dt=0(0χ[0,x](t)f(x)dx)dt=0(0χ[0,x](t)f(x)dt)dx()=0(0χ[0,x](t)dt)f(x)dx=0(0x1dt)f(x)dx=0xf(x)dx=E(X)


途中で行った積分の順序交換が正当化できるかどうかを確認しておきます。
Rにはボレル集合体B(R)を備えて(ボレル)可測空間(R,B(R))とします。
とりあえず気にせず積分の順序交換をしてやるぜーって人は気にしなくて大丈夫です。
χ[0,x](t)=χ{(x,t)R20tx}(x,t)
ですが、
{(x,t)R20tx}
がボレル可測集合なので、
χ{(x,t)R20tx}
について、任意のRのボレル可測集合の逆像が{(x,t)R20tx}Rなので、
χ{(x,t)R20tx}
B(R2)可測です。なので、
B(R)B(R)
可測です(ここは補足記事を用意してあります)。

ということで、フビニの定理が適用できて積分の順序交換ができます。
(最近数学をやっていないので細かいところで議論に致命傷があるかもしれません、コメント等で補足してもらえると助かります)

いずれにせよ、期待値は生存関数の積分と一致します。

負の値もとる確率変数の場合

X=max{X,0}max{X,0}
と分解して、それぞれの部分に適用すればよいです。

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