ヘヴィサイド関数の微分がデルタ関数であることの証明

ヘヴィサイド関数の微分がデルタ関数であることの証明。特に信号処理や電磁気学において頻繁に遭遇する特殊な関数、ヘヴィサイド関数とデルタ関数についての理解を深めよう。

目次

ヘヴィサイド関数の微分がデルタ関数であることの証明

ヘヴィサイド関数を

\begin{align*} H(x) \begin{cases} 1 & (x > 0) \\ \frac{1}{2} & (x = 0) \\ 0 & (x < 0) \end{cases} \end{align*}

により定めます。すると、

ヘヴィサイド関数の微分

\begin{align*} \partial_x H = \delta_0 \end{align*}

が成り立ちます。

ただし、\(\delta_0\) はコンパクトな台をもつ滑らかな関数\(f \in \mathcal D(\mathbb R)\) に対して

\begin{align*} \delta_0 f = f(0) \end{align*}

により定まる超関数です。また、微分は超関数の意味での微分です。

証明

証明方法は計算するだけです。

\begin{align*}(\partial_x H, f) &= (H, – \partial_x f) \\&= \int_{0}^\infty – \partial_x f dx \\&= -\lbrack f (x) \rbrack_0^\infty \\&= – \left( \lim_{x \rightarrow \infty } f(x) – f(0) \right) \\&= 0 + f(0) \\&= f(0) \\&=(\delta_0, f) \end{align*}

途中で、\(\lim f = 0\) となっているのは、\(f\) がコンパクトな台を持つからです。

証明を終了します。

おまけ:ヘヴィサイド関数の原点における値を変えたら

ヘヴィサイド関数の定義として、別の定義を採用することにします。

\begin{align*} H(x) \begin{cases} 1 & (x > 0) \\ 0 & (x = 0) \\ 0 & (x < 0) \end{cases} \end{align*}

により定めます。つまり、原点において\(\frac{1}{2}\) という値ではなく\(0\) という値をとるように変えてみます。

測度がゼロである1点での値は積分の結果に寄与しないので、全く同様に

\begin{align*}(\partial_x H, f) &= (H, – \partial_x f) \\&= \int_{0}^\infty – \partial_x f dx \\&= -\lbrack f (x) \rbrack_0^\infty \\&= – \left( \lim_{x \rightarrow \infty } f(x) – f(0) \right) \\&= 0 + f(0) \\&= f(0) \\&=(\delta_0, f) \end{align*}

となり、このように定めたヘヴィサイド関数に対しても微分はデルタ関数です。

記事をシェアして話のネタにする

コメント

コメントする

目次