e^{ax}とe^{bx}が一次独立であることの証明をわかりやすく解説!

この記事では、\(a \neq b\)であるとき、2つの指数関数\(e^{ax}, e^{bx}\)が一次独立であることを証明します。これを理解するためには、まず一次独立の定義から始め、次に関数空間における一次独立の概念を説明し、最後に実際の証明を行います。

目次

e^{ax}とe^{bx}が一次独立であることの証明をわかりやすく解説!

まず最初にベクトル空間における一次独立(または線形独立)の定義を確認しておきましょう。

一次独立とは、ベクトルや関数の組が、互いに線形結合によって表現することができない性質を指します。具体的には、あるベクトルまたは関数の組が一次独立であるとは、それらを線形結合してゼロベクトルやゼロ関数を作ることができる場合、その線形結合の係数すべてが0であることを意味します。

定義: 一次独立

ベクトル空間\(V\)の\(k\)個の元\(v_1, v_2, \ldots, v_k \in V\)は、
任意の\(c_1, \ldots, c_k \in \mathbb R\)に対して
\begin{align*} c_1 v_1 + \dots + c_k v_k = 0 \Rightarrow c_1 = c_2 = \dots = c_k = 0\end{align*}
が成り立つならば、一次独立であるという。

このことを踏まえると、関数空間における一次独立は

関数空間における一次独立

\(k\)個の関数\(f_1, f_2, \ldots, f_k : \mathbb R \rightarrow \mathbb R\)は、
任意の\(c_1, \ldots, c_k \in \mathbb R\)に対して
\begin{align*} c_1 f_1 + \dots + c_k f_k = 0 \Rightarrow c_1 = c_2 = \dots = c_k = 0\end{align*}
が成り立つならば、一次独立であるという。

このことを踏まえて、この記事のタイトルである次の問題を解いてみましょう。

問題

\(a \neq b\)であるとき、\(e^{ax}, e^{bx}\)が一次独立であることを示せ。

\begin{align*} c_1 e^{ax} + c_2 e^{bx} = 0 \Rightarrow c_1 = c_2 = 0\end{align*}
を示しましょう。
\begin{align*}c_1 e^{ax} + c_2 e^{bx} = e^{ax}( c_1 + c_2 e^{(b-a)x} \end{align*}
であるので、
\begin{align*} e^{ax}( c_1 + c_2 e^{(b-a)x} = 0 \end{align*}
です。つまり、
\begin{align*} c_1 + c_2 e^{(b-a)x} = 0 \end{align*}
であることがわかります。ここで、\(a \neq b\)であるので、\(b – a \neq 0\)です。
背理法を用いることにします。仮に\(c_2 \neq 0\)とすると、\(e^{(b-a)x} \)は単調な関数なので、左辺は真に単調な関数です。
一方で右辺は\(0\)であるので、真に単調な関数ではないので矛盾します。
従って、\(c_2 = 0\)であることがわかります。
すると、
\begin{align*} c_1 + c_2 e^{(b-a)x} = c_1 \end{align*}
であるので、\(c_1 = 0\)がわかります。
まとめると、\(c_1 = c_2 = 0\)となるので、証明が終了します。

この記事では、\(a \neq b\)であるとき、2つの指数関数\(e^{ax}, e^{bx}\)が一次独立であることを証明しました。
一次独立の概念を理解することは、関数解析や微分方程式の理論を学ぶ上で非常に重要です。この知識を持つことで、さまざまな数学的問題に取り組む際の幅が広がるでしょう。

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