この記事ではパラメータがガンマ分布のポアソン混合分布が負の二項分布である証明をわかりやすく解説します。
まず初めに、ガンマ分布とポアソン分布について思い出しましょう。
パラメータ\(\alpha , \beta\)のガンマ分布\(\Gamma(\alpha, \beta)\)とは、確率密度関数が
\begin{align*} f(x) = \begin{cases} \frac{ \beta^\alpha x^{\alpha – 1} e^{- \beta x} }{\Gamma(\alpha)} & (0 \leq x) \\ 0 & (x < 0) \end{cases}\end{align*}
で与えられる分布でした。
また、平均パラメータ\(\lambda\)のポアソン分布\(Po(\lambda)\)とは、
\begin{align*} P(X = k) = \begin{cases} e^{-\lambda} \frac{\lambda^k}{k!} & (0 \leq x )\\ 0 & (x < 0) \end{cases}\end{align*}
により定まる分布でした。
パラメータがガンマ分布\(\Gamma(\alpha, \beta)\)のポアソン混合分布とは、形式的には
\begin{align*} Po(\Gamma(\alpha, \beta))\end{align*}
と表記できるような分布です。つまり、\(\lambda \sim \Gamma(\alpha, \beta)\)とした時、確率変数
\begin{align*} X \sim Po(\lambda)\end{align*}
の従う分布がポアソン分布の平均パラメータがガンマ分布に従う分布です。
このとき、
パラメータがガンマ分布\(\Gamma(\alpha, \beta)\)のポアソン混合分布は、
負の二項分布\(NB(\alpha, \frac{\beta}{1 + \beta })\)に従う。
このことを実際に確かめてみましょう。パラメータがガンマ分布\(\Gamma(\alpha, \beta)\)に従うポアソン混合分布に従う確率変数を\(X\)と表記することにします。\(\lambda \sim \Gamma(\alpha, \beta)\)と表記し、\(\lambda\)の確率密度関数を\(f\)と表記することにします。
\begin{align*} P(X = k) = \int_0^\infty P(X = k \mid \lambda) f(\lambda) d \lambda \end{align*}
であることから\(P(X = k)\)を実際に求めることにします。
\begin{align*} P(X = k) &= \int_0^\infty P(X = k \mid \lambda) f(\lambda) d \lambda
\\&= \int_0^\infty e^{-\lambda} \frac{\lambda^k}{k!} \frac{ \beta^\alpha \lambda^{\alpha – 1} e^{- \beta \lambda} }{\Gamma(\alpha)} d \lambda
\\&= \int_0^\infty \frac{1}{k! (\alpha -1 ) !} \beta^\alpha \left(\frac{\Lambda}{1 + \beta} \right)^{k + \alpha -1} e^{- \Lambda } \frac{1}{1 + \beta}d \Lambda \quad ( \Lambda = (1 + \beta ) )
\\&= \frac{1}{k! (\alpha -1 ) !} \frac{\beta ^ \alpha}{ (1 + \beta )^{k + \alpha – 1} } \int_0^\infty \Lambda^{k + \alpha -1} e^{ -\Lambda} d \Lambda
\\&= \frac{1}{k! (\alpha -1 ) !} \frac{\beta ^ \alpha}{ (1 + \beta )^{k + \alpha – 1} } \Gamma(k + \alpha – 1)
\\&= \frac{(k + \alpha -1)! }{k! (\alpha – 1)!} \left( \frac{1}{1 + \beta }\right)^k \left(\frac{\beta }{1 + \beta} \right)^\alpha \end{align*}
となります。
これは、負の二項分布
\begin{align*} NB(\alpha, \frac{\beta}{1 + \beta})\end{align*}
の確率分布と同じであるので、結論が得られました。
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