測度が有限であればL^qならばL^p

測度が有限である場合、L^p空間とL^q空間の間には重要な関係が存在します。「測度が有限であればL^qならばL^p」というのは、測度が有限であるという条件のもとで、もし関数fがL^q空間に属しているならば、p ≤ q の場合、関数fは自動的にL^p空間にも属する、という意味です。これは、Holderの不等式と有限測度の性質から示されます。

\(n\)次元ルベーグ測度を\(\mathcal L^n\)と表記することにします。

次のような不等式が成り立ちます。

命題

\(0< p < q < \infty\)とし、\(A \subset \mathbb R^n\) を\(\mathcal L^n (A) < \infty\) であるルベーグ可測集合とします。次の不等式が成り立ちます。

\begin{align*} \left( \int_A |f|^p dx \right) ^{1/p} \leq \left( \int_{\mathbb R^n} |f|^{q} dx \right)^{\frac{1}{q}} \mathcal L^n (A) ^{ \frac{1}{p} – \frac{1}{q} } \end{align*}

証明

ここで、\(s\)を\(q/p\)とし、\(t\)を\(\frac{1}{s} + \frac{1}{t} = 1\) を満たす数として定めましょう。この定義から、\(\frac{1}{t} = \frac{q – p}{q}\)となることがわかります。

これを用いて不等式を変形していきます。まず、左辺の積分を書き換えてみます。ヘルダーの不等式を用いることで、

\begin{align*} \int_A |f|^p dx = \int_\mathbb R^n |f| ^p 1_A dx \leq \left( \int_{\mathbb R^n} |f|^{ps} dx \right)^{\frac{1}{s}} \left( \int_{\mathbb R^n} 1_A^t dx \right)^{\frac{1}{t}} \end{align*}

ここで、両辺を\(1/p\)乗すると、

\begin{align*} \left( \int_A |f|^p dx \right) ^{1/p} \leq \left( \int_{\mathbb R^n} |f|^{ps} dx \right)^{\frac{1}{ps}} \left( \int_{\mathbb R^n} 1_A^t dx \right)^{\frac{1}{pt}} \end{align*}

となります。

ここで、\(p \cdot s = q\) であることと、\(\frac{1}{t p} = \frac{q – p}{qp } = \frac{1}{p} – \frac{1}{q}\) という関係を利用すると、不等式は次のようになります。

\begin{align*} \left( \int_A |f|^p dx \right) ^{1/p} \leq \left( \int_{\mathbb R^n} |f|^{q} dx \right)^{\frac{1}{q}} \left( \int_{\mathbb R^n} 1_A^t dx \right)^{ \frac{1}{p} – \frac{1}{q} } \end{align*}

最後に、\(\int_{\mathbb R^n}1_A^t dx = \mathcal L^n (A)\)であることに注意すると、

\begin{align*} \left( \int_A |f|^p dx \right) ^{1/p} \leq \left( \int_{\mathbb R^n} |f|^{q} dx \right)^{\frac{1}{q}} \mathcal L^n (A) ^{ \frac{1}{p} – \frac{1}{q} } \end{align*}

となり、これで、最初に示したかった不等式が導かれました。

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