有界な集合の同相写像による像は有界な集合でしょうか。結論を先に述べると、反例があります。このことは、集合論や位相空間理論で一般的に扱われる話題です。
目次
有界な集合の同相写像による像で有界でない集合の例
始域を\((-1, 1)\)として
\begin{align*} \log {\frac{1+x}{1 – x}}\end{align*}
という写像を考えてみましょう。
単調増大であることを確認する
\begin{align*} \log \frac{1 + x}{1 – x}\end{align*}
という写像は\((-1, 1)\) の範囲で単調増大であることを確認してみましょう。
\begin{align*} \frac{d}{dx} \log \frac{1 + x}{1 – x} = \frac{2}{(1 + x)(1 – x)} \end{align*}
となり、右辺は\((-1, 1)\) 上で正であるので、真に単調増大です。
像が実数全体であることを確認する
\begin{align*} x \rightarrow \pm 1 \end{align*}
という極限を考えることで、\( \log \frac{1 + x}{1 – x}\) の像が\((-\infty , \infty)\) であることを確認できます。
結論
従って、\( \log \frac{1 + x}{1 – x}\) は\(( -1, 1)\) から\(\mathbb R\) への同相写像なのですが、
明らかに\((-1, 1)\) は有界である一方で、\(\mathbb R\)は非有界です。
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