ラスパイレス指数とパーシェ指数の使い分けをわかりやすく解説

ラスパイレス指数とパーシェ指数の使い分けについて解説します。経済学では、物価の変動や実質所得の変化を測るために、さまざまな価格指数が使われます。その中でも「ラスパイレス指数」と「パーシェ指数」は重要なものとして知られています。

目次

ラスパイレス指数とパーシェ指数

財が\( i = 1, \ldots, n\) の\( n\) 種類あるとします。適当に時刻\( t \leq T\) を考えます。

\( p(i, t)\) は時点\( t\) での財\(i\) の価格、\( p(i, T)\) は時点\( T\) での財\(i\) の価格、\( q(i, t)\) は時点\( t\) での財\(i\) の数量、\( q(i, T)\) は時点\( T\) での財\(i\) の数量とします。

ラスパイレス指数とは、

\begin{align*} LI = \frac{\sum_{i = 1}^n p(i,T)q(i,t)}{\sum_{i = 1}^n p(i,t)q(i,t)} \times 100\end{align*}

により定められます。

パーシェ指数とは、

\begin{align*} PI = \frac{\sum_{i = 1}^n p(i,T)q(i,T)}{\sum_{i = 1}^n p(i,t)q(i,T)} \times 100\end{align*}

により定められます。

ラスパイレス指数とパーシェ指数の共通点は?

ラスパイレス指数もパーシェ指数も、ともに特定の財(及びサービス)の集合のコストが時点tと時点Tでどれだけ変化したかを測る値です。このとき、時点の変化に対して財の数量を固定しなければ、財のコストの変化を正確に捉えることができなくなるので、tあるいはTのどちらかに固定します。どちらに固定するかでラスパイレス方式かパーシェ方式かが変わります。

例えば、時点tで100円のパンを3個食べていたのが、時点Tではパンが300円に値上がりしたので、1個しか食べなかったとします。明らかにパンの値段は上がっているわけですが、もし消費するパンの個数を固定しなければ、時点tでも時点Tでも300円の出費となるので、パンの値上がりを反映できる量にはなりません。

それなら数量を全て1に固定してしまえば?

何を測定したいかによってはそれも一つの方法かもしれません。しかし、物価を測定しようと思った場合には数量を全て1にしてしまうと、実態を捉えられなくなってしまいます。どういうことでしょうか。

例えば、家計にとって、タマゴの価格が2倍になると影響は大きいですが、漫画ワンピースの価格が2倍になっても、それほど影響はないでしょう。この違いは、家計が購入する数量が、タマゴは多くて、漫画ワンピースは少ないからです。

従って、数量を全て1に固定してしまうと、物価の変動を測定したい場合にはイマイチな値になります。

ラスパイレス指数とパーシェ指数の相違点は?

2つの指数で何が違うのかを考えていきましょう。

時点tと時点Tのデータでは、\( t \leq T\) のときには、時点Tのデータの方が新しい情報であるため、揃っていない場合があります。つまり、パーシェ指数の方は、より新しい時点でのデータを用いる必要があるため、データが不足している可能性があります。この場合、ラスパイレス指数を用いることになるでしょう。一方で、古いデータの方が足りない、という場合があるので、その場合にはパーシェ指数を用いることになるでしょう。

もちろん、使い分けが必要になる状況は前述の例に限らないでしょう。状況に応じてどちらの指数を用いた方が良いのかは変わってくるので、ケースバイケースで考える必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ややこしいですよね。ラスパイレス指数やパーシェ指数は、マクロ経済学の一環で、インフレーションを測定するための指数の一つです。多くの大学の経済学部では、マクロ経済学の講義で学ぶことになります。大学によってカリキュラムが異なるので一概には言えませんが、入門の講義では取り扱わないかもしれません。これらの指数を詳しく学びたい場合には、経済学部のカリキュラムや講義内容を確認することをおすすめします。

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