この記事では、二項分布の積率母関数(モーメント母関数)の求め方を解説します。
確率変数\(X\)の積率母関数とは、
\begin{align*} M_{X}(t) = E(e^{tX}) \end{align*}
により定義される関数のことでした。
結論から述べると、
\(X\)をパラメータ\(n, p\)の二項分布\(Bin(n, p)\)に従うとします。
このとき、\(X\)の積率母関数は、
\begin{align*} M_{X}(t) = E(e^{tX}) = \left(p e^t + (1-p) \right)^n \end{align*}
です。
二項分布の積率母関数は、二項分布が独立なベルヌーイ分布の和であることから求めることにします。
\(X\)をパラメータ\(n, p\)の二項分布に従うとします。
\(X_1, \ldots, X_n\)を、それぞれ独立で、パラメータ\(p\)のベルヌーイ分布に従う確率変数だとします。
パラメータ\(p\)のベルヌーイ分布に従う確率変数\(X_i\)の積率母関数は、簡単に計算できて、
\begin{align*} P(X_i = 1) = p, \quad P(X_i = 0) = 1 – p\end{align*}
なので、
\begin{align*} M_{X_i}(t) = E(e^{tX_i}) = p e^{t \cdot 1} + (1 – p ) e^{t \cdot 0} = pe^t + (1-p)\end{align*}
です。
では実際に二項分布の積率母関数を計算してみましょう。
\begin{align*} X = \sum_{i=1}^n X_i \end{align*}
であるので、
\begin{align*} &M_{X}(t)
\\&= E(e^{tX})
\\&= E(e^{t\sum_{i=1}^n X_i})
\\&= \Prod_{i=1}^n e^{t X_i}
\\&= \Prod_{i=1}^n M_{X_i}(t)
\\&=\Prod_{i=1}^n \left(p e^t + (1-p) \right)
\\& =\left(p e^t + (1-p) \right)^n \end{align*}
と計算することができました。
いかがでしたでしょうか。
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