パー債券の修正デュレーションが期末払い確定年金現価と一致することの証明

パー債券とは、額面価格と同じ価格で発行される債券のことです。通常、債券にはクーポン(利息)が付いており、一定の期間ごとに投資家に支払われます。パー債券では、このクーポン率が市場利率と一致しているため、額面通りの価格で取引されます。

設定および準備


\(t\)期のクーポンが\(C\), 割引率\(v\), 満期\(n\)年の額面が\(F\)の債券を考えます。
利率を\(i\)で表すことにします。
(割引率というのは, \(v = \frac{1}{1 + i}\)です。)

債券の購入価額をPで表すことにします。

定義

修正デュレーションの定義を思い出しておくと、
\begin{align*} \textrm{modD} = \frac{\sum_{t = 1}^n tv^{t+1} C_t + nv^{n+1} F}{\sum_{t = 1}^n v^t C_t + v^n F } \end{align*}


でした。

命題

毎期1支払われる期末払い\(n\)年確定年金の現価を\(a_n\)で表すことにすると、
\begin{align*} a_n = v \frac{1 – v^n}{1 – v} \end{align*}
とかけます。別の表現をすると、\(1 – v = 1 – \frac{1}{1 + i} =\frac{i}{1 + i} = iv\)なので、
\begin{align*} a_n = \frac{1 – v^n}{i} \end{align*}
と書くこともできます。

ここで、次の命題を確認しておきます。高校数学でよく出てきましたが、等差数列と等比数列の積の総和です。

命題

\begin{align*} \sum_{t=1}^n t v^{t} = \frac{1}{i} \left( \frac{1}{v} a_n – n v^{n}\right) \end{align*}

これは、
\begin{align*} \sum_{t=1}^n t v^{t} &= \frac{1}{1 – v} \left(v \frac{1 – v^n}{1- v} – n v^{n + 1}\right)
\\&= \frac{1}{i v} \left(v \frac{1 – v^n}{1- v} – n v^{n + 1}\right)
\\&= \frac{1}{i} \left( \frac{1}{v} a_n – n v^{n}\right) \end{align*}
というふうに確認することができます。

パー債券の修正デュレーションが期末払い確定年金現価と一致することの証明

命題

パー債券の修正デュレーションは、期末払い確定年金現価と一致します。つまり、
\begin{align*} \textrm{modD} = a_n \end{align*}
が成り立ちます。

このことを証明してみましょう。

まずパー債券なので、\(C_t = Fi\)となります。

\begin{align*} \textrm{modD} &= \frac{\sum_{t = 1}^n tv^{t+1} C_t + nv^{n+1} F}{\sum_{t=1}^n v^t C_t + v^n F }
\\&= \frac{F i \sum_{t = 1}^n tv^{t+1} + nv^{n+1} F}{ Fi a_n + v^n F }
\\&= \frac{F i v \sum_{t = 1}^n tv^{t} + nv^{n+1} F }{ Fi a_n + v^n F }
\\&= \frac{F i v \frac{1}{i} \left( \frac{1}{v} a_n – n v^{n}\right) + nv^{n+1} F }{ Fi a_n + v^n F }
\\&= \frac{F a_n }{Fi a_n + v^n F }
\\&= \frac{F a_n }{Fi \frac{1 – v^n}{i} + v^n F }
\\&= \frac{F a_n}{F}
\\&= a_n \end{align*}

(長々と書きましたが、もっとシンプルに計算できると思います。)

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