ピートルの不等式
日々数学をしていると、ピートルの不等式を目にしたことがあるかもしれません。
\(x, y \in \mathbb R^n\) に対して
\begin{align*} (1 + \| x + y \|^2)^{\frac{1}{2}} \leq \sqrt 2 (1 + \| x \|^2)^{\frac{1}{2}} (1 + \| y \|^2)^{\frac{1}{2}} \end{align*}
が成り立つというのがピートルの不等式です。ただし\(\| \cdot \|\) は適当なノルムです。
脳の老化防止になります。証明してみましょう。
ピートルの不等式
証明は、ただ計算するだけです。
\begin{align*} (1 – \| x \| \| y \| ) ^2 \geq 0 \end{align*}
より、
\begin{align*} 1 + \| x \| ^2 \| y \| ^2 \geq 2 \| x \| \| y \| \end{align*}
であることをリマインドしておきます。
\begin{align*}1 + \| x + y \|^2 & \leq 1 + (\| x \| + \| y \| )^2 \\&= 1 + \| x \| ^2 + 2 \| x \| \| y \| + \| y \| ^2 \\&\leq 1 + \| x \| ^2 + 1 + \| x \| ^2 \| y \| ^2 + \| y \| ^2 \\&= 2 (1 + \| x \| ^2 )(1 + \| y \|^2) \end{align*}
となることから、主張が従います。一番最初の不等号で三角不等式を用いました。
余談
ピートルの英語表記はおそらくPietroかPeetreでしょうか。
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