ポイントは貯めずに毎回使うと損をするのか徹底検証しました。
ポイント制度が導入されたお店は、多くの人にとってお得感を提供してくれます。買い物をするたびにポイントが貯まり、最終的にはお金として還元される仕組みは、利用者にとって魅力的な仕組みであることは間違いありません。
しかし、毎回ポイントを使うのと、貯め続けて最後に使うのでは、どちらがお得なのでしょうか?
設定
設定1:ポイント還元の割合を商品購入額の\(r (0 \leq r \leq 1)\)倍とし、\(1\)ポイント\(1\)円とします。例えば、\(100\)円の商品を購入すると\(r\)ポイント貰えます。また、\(100\) の商品をポイント\(10\)ポイントを使用して購入した場合、商品購入額は\(90\)円なので、貰えるポイントは\(9\)ポイントです。
設定2:今回は話を簡単にするために、毎回同じ、\(c\)円の商品を購入することにします。
設定3:また、買い物を\(n\)回繰り返すこととします。
ポイントを貯め続けて最後に使う手法
\(n\)回の買い物をする計画を立てます。ポイントを貯め続けて最後に使うことにすると。
\(n-1\)回目までの買い物は毎回\(c\)円を支払い、\(rc\)ポイント貯まることになります。
\(n\)回目の買い物ではこれまでに貯めたポイント\((n-1)rc\)ポイントを使って買い物をするので、\(c – (n-1)rc\)円を支払うことにまります。したがって、\(n\)回の買い物での総支払い額は
\begin{align*} c(n-(n-1)r) \end{align*}
円です。
ポイントを毎回使う場合
ポイントを毎回使う場合を考えます。\(1\)回目の買い物の支払い額は\(c\)円です。\(2\)回目の買い物の支払い額は\(c – rc\) 円です。\(3\)回目の買い物の支払額は\(c – r(c – rc)\) です。このように繰り返していくと、総支払額は、
\begin{align*} c + (c – rc) + (c – r(c- rc)) + (c – r(c – r(c -rc))) + \cdots . \end{align*}
となります。最後に\(c\)倍すればよいので、一旦\(c = 1\) としてこれを計算します。読者のみなさんは真剣に式変形を追わなくても大丈夫です。適当に眺めていてください。
\begin{align*} \sum_{k = 0}^{n-1} (n-k)(-r)^k \end{align*}
となります。さらにこれを適当に簡単な形に計算していきましょう。
\begin{align*} \sum_{k = 0}^{n-1} (n-k)(-r)^k = n \sum_{k = 0}^{n-1}(-r)^k – \sum_{k = 0}^{n-1} k(-r)^k \end{align*}
と二つの項にわけます。
\begin{align*} n \sum_{k = 0}^{n-1}(-r)^k = n \frac{1 – (-r)^n}{1 + r} \end{align*}
となります。また、\(\sum k(-r)^k = (-r) \frac{d}{dr} \sum (-r)^k \) であるので,
\begin{align*} – \sum_{k = 0}^{n-1} k(-r)^k = \frac{-n(-r)^n(1 +r) + r(1 – (-r)^n)}{(1 + r)^2}\end{align*}
となります。したがって、
\begin{align*} \sum_{k = 0}^{n-1} (n-k)(-r)^k &= n \sum_{k = 0}^{n-1}(-r)^k – \sum_{k = 0}^{n-1} k(-r)^k \\&= \frac{(-r)^{n+1} + nr + r + n}{(1 + r)^2} \end{align*}
となります。結局のところ、\(c\)円の商品を購入し続ける場合は、
\begin{align*} c \frac{(-r)^{n+1} + nr + r + n}{(1 + r)^2} \end{align*}
円支払うことになります。
2つの支払い方法の比較
(ポイントを毎回使う時の総支払額) – (ポイントを最後にまとめて使う時の総支払い額)である
\begin{align*} c \frac{(-r)^{n+1} + nr + r + n}{(1 + r)^2} – c(n-(n-1)r) \end{align*}
を計算します。これを計算すると、
\begin{align*} \frac{-cr ((-r)^n + (r + 2)(nr + n + r))}{(1 + r)^2} \end{align*}
となります。この式の\(0 \leq r \leq 1\) における正負を調べたいのですが、適当に式変形していくと、結局
\begin{align*} (n-1)r + n-2 + (-r)^{n-1}\end{align*}
の\(0 \leq r < 1\) における正負を調べることと同じになります。
ここで、\(n = 1\) のときには、どのみちポイントを使うことなく総支払額は\(c\) であるので、\(n \geq 2\) の場合を考えていきます。
\(0 \leq r \leq 1\) から、\((-r)^{n-1} \geq – r\) であることに注意すると、
\begin{align*} (n-1)r + n-2 + (-r)^{n-1} \geq (n -1 )r + n -2 -r = (n -2)(r + 1) \geq 0\end{align*}
となります。
結論: ポイントはまとめて使った方が総支払い額が小さい
ここまでの議論から、
(ポイントを毎回使う時の総支払額) – (ポイントを最後にまとめて使う時の総支払い額)が非負
ということが言えるので、
ポイントを最後にまとめて使う方が総支払い額が小さい、つまりお得であるということが結論づけられます!!
計算に間違いがあったらごめんなさい。
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