\(\sum \frac{\sin nx}{n}\)という級数が各点収束することを証明します。
\(\sum \frac{\sin nx}{n}\)が各点収束することをわかりやすく解説!!!
事前準備として次の補題を証明しておきましょう。
\begin{align*} \sum_{n = 1}^N \sin (nx) = \frac{\cos 0 + \cos x – \cos Nx – \cos (N+1)x}{2 \sin x} \end{align*}
証明:
三角関数の加法定理より、
\begin{align*} \cos (n-1)x &= \cos nx \cos x + \sin nx \sin x \\ \cos (n + 1)x &= \cos nx \cos x – \sin nx \sin x \end{align*}
より、
\begin{align*} \sin nx = \frac{\cos (n-1) x – \cos (n + 1)x }{2 \sin x}\end{align*}
が成り立ちます。
\begin{align*} \sin x &= \frac{\cos 0x – \cos 2x }{2 \sin x} \\ \sin 2x &= \frac{\cos x – \cos 3x }{2 \sin x} \\ \sin 3x &= \frac{\cos 2x – \cos 4x }{2 \sin x} \\ \sin 4x &= \frac{\cos 3x – \cos 4x }{2 \sin x} \\ & \vdots \\ \sin (N-1)x &= \frac{\cos (N -2)x – \cos N x }{2 \sin x} \\ \sin N x &= \frac{\cos (N-1)x – \cos (N + 1)x }{2 \sin x}\end{align*}
ですので、
\begin{align*} \sum_{n = 1}^N \sin (nx) = \frac{\cos 0 + \cos x – \cos Nx – \cos (N+1)x}{2 \sin x} \end{align*}
が成り立ちます。
さらに、級数の収束を判定する際に有効な命題として次の命題を採用しましょう。
\(\{ a_n \}\)を0に収束する実数の減少列、つまり\(a_1 \geq a_2 \geq a_3 \geq \cdots \rightarrow 0\)とする。
\(\{ b_n \}\)を部分和が一様に有界、つまり\(M> 0\)で任意の\(N \in \mathbb N\)
\begin{align*} | \sum_{n = 1}^N b_n | \leq M \end{align*}
を満たすものが存在する実数列とする。
このとき、
\begin{align*} \sum_{n = 1}^\infty a_n b_n \end{align*}
は収束する。
これを踏まえて次の命題を証明します。
\begin{align*} \sum_{n = 1}^\infty \frac{\sin n x}{n}\end{align*}
は各点収束します。
証明:
ディリクレの収束判定法を用います。任意に\(x\)を選んでおきます。
\begin{align*} a_n = \frac{1}{n}, b_n = \sin nx \end{align*}
とします。\(a_n\)は0に収束する減少列です。任意の\(N \in \mathbb N\)に対して
\begin{align*} \sum_{n = 1}^N \sin (nx) = \frac{\cos 0 + \cos x – \cos Nx – \cos (N+1)x}{2 \sin x} \end{align*}
より、
\begin{align*} | \sum_{n = 1}^N \sin (nx) | \leq \frac{4}{2 \sin x} = \frac{2}{\sin x} \end{align*}
となります。
従って、任意の\(x\)についてディリクレの収束判定法が適用できるので、各点収束します。
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