この記事ではポートフォリオの標準偏差の重みに関する勾配を求めます。
\(X_1, \ldots, X_n\)を、標準偏差が\(\sigma_1, \ldots, \sigma_n\)である確率変数とします。
\(w_1, \ldots, w_n \in \mathbb (0,1)\)を、
\begin{align*} w_1 + \ldots + w_n = 1 \end{align*}
とします。確率変数\(X_p\)を
\begin{align*} X_p = w_1 X_1 + \ldots + w_n X_n\end{align*}
と定め、これを\(X_1, \ldots, X_n\)からなるポートフォリオと言います。
このポートフォリオの分散は、
\begin{align*} V(X_p) = \Sigma_{i, j} w_i \text{Cov}(X_i, X_j) w_j \end{align*}
です。
\begin{align*} w = (w_1, \ldots, w_n)^t \in \mathbb R^n \end{align*}
とベクトルの記法を用いることにして、\(w\)に関する勾配\(\nabla_w V(X_p)\)を計算することにします。
思えば、\(x = (x_1, \ldots, x_n)^t \in \mathbb R^n), A \in M_n\)に対して、
\begin{align*} \nabla _x x^t A x = (A + A^t ) x \end{align*}
だったので、\(X_1, \ldots, X_n\)の分散共分散行列を\(\Sigma\)で書くことにすると、
\begin{align*} V(X_p) = w^t \Sigma w \end{align*}
なので、
\begin{align*} \nabla_w V(X_p) = \nabla_w \left( w^t \Sigma w\right) = (\Sigma + \Sigma^t)w\end{align*}
と計算できます。
ここで、分散共分散行列は対称行列でしたので、
\begin{align*} (\Sigma + \Sigma^t)w = 2 \Sigma w \end{align*}
となり、
\begin{align*} \nabla_w V(X_p) = 2 \Sigma w \end{align*}
でした。
したがって、\(X_p\)の標準偏差を\(\sigma_p\)と表記すると、
\begin{align*} \sigma_p = \left(V(X_p) \right)^{\frac{1}{2}} \end{align*}
なので、
\begin{align*}\nabla_w \sigma_p = \frac{1}{2}2 \Sigma w \left(V(X_p) \right)^{ – \frac{1}{2}} = \Sigma w \left(V(X_p) \right)^{ – \frac{1}{2}} = \frac{\Sigma w}{\sigma_p } \end{align*}
と求めることができました。
\begin{align*} \nabla_w \sigma_p = \frac{\Sigma w}{\sigma_p } \end{align*}
コメント