連続な加法的関数が線形関数に限ることの証明をわかりやすく解説

加法的関数に連続性を仮定すれば、線形関数に限ることを証明します。

目次

連続な加法的関数が線形関数に限ることの証明をわかりやすく解説

連続な加法的関数が線形関数に限ることを示す前に、
加法的関数であれば、有理数全体に制限すれば線形であることを証明しましょう。

命題

\(f: \mathbb R \rightarrow \mathbb R\)が
\begin{align*} f(x + y) = f(x) + f(y) \end{align*}
を満たすならば、任意の有理数\(q \in \mathbb Q\) に対して、
\begin{align*} f(q) = qf(1)\end{align*}
が成り立つ。

有理数\(q\)を適当にとります。有理数の定義から、互いに素な自然数\(n, m \in \mathbb N\) を用いて
\begin{align*} q = \frac{n}{m}\end{align*}
と表すことができます。

そこで、\(f(\frac{n}{m}\) を\(m\)個足すと、
\begin{align*} f(\frac{n}{m}) + f(\frac{n}{m}) + \cdots + f(\frac{n}{m}) = f(n) \end{align*}
となるので、加法性から
\begin{align*} f(\frac{n}{m}) = \frac{1}{m} f(n) \end{align*}
が成り立ちます。加法性から\(f(n) = nf(1)\) であるので、
\begin{align*}f(\frac{n}{m}) = \frac{n}{m} f(1) \end{align*}
が成り立ちます。

これはすなわち、
\begin{align*} f(q) = q f(1) \end{align*}
を意味しているので証明を終了します。

加法的関数が連続ならば線形関数

さて、本題にはいりましょう。

命題

\(f: \mathbb R \rightarrow \mathbb R\)が
\begin{align*} f(x + y) = f(x) + f(y) \end{align*}
を満たし、かつ連続であるならば、任意の\(x \in \mathbb R\)に対して
\begin{align*} f(x) = xf(1)\end{align*}
が成り立つ。

(証明).
任意の実数\(r \in \mathbb R\)に対して適当な有理数の点列\(q_i \in \mathbb Q\) で
\begin{align*} q_i \rightarrow r \end{align*}
を満たすものが取れます。

先ほど示した命題から加法的関数は有理数\(q\) に対しては
\begin{align*} f(q) = q f(1) \end{align*}
であったので、
\begin{align*} f(q_i) = q_i f(1) \end{align*}
が成り立ちます。\(f\) が連続であることから
\begin{align*} f(r) = f(\lim q_i ) = \lim f(q_i ) = \lim q_i f(1) = r f(1) \end{align*}
が成り立つので、主張が従います。

あわせて読みたい記事

記事をシェアして話のネタにする

コメント

コメントする

目次