L^pノルムの対数凸性の証明

\(L^p\)ノルムの対数凸性の証明をしてみましょう。

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L^pノルムの対数凸性の証明

以下の命題が成り立ちます。

命題

\(0 < p < q < \infty\) とし、\(f \in L^p(\mathbb R^n) \cap L^q (\mathbb R^n)\)とします。 \(\varphi_f (r) = \log \left( \int_{\mathbb R^n} |f|^r dx \right) \) は\([p, q]\) 上の凸関数である。

つまり、我々が考えている問題は、関数 \(f\) が \(L^p(\mathbb R^n)\) および \(L^q(\mathbb R^n)\) の両方に属するとき、\(\varphi_f (r) = \log \left( \int_{\mathbb R^n} |f|^r dx \right)\) が \([p, q]\) の区間で凸であることを示すことです。これは少し難解に感じるかもしれませんが、一歩ずつ解き明かしていきましょう!

証明の方法として「共役指数」に注目します。これは、逆数同士を足すと\(1\) になるような実数の組のことです。この性質は、ヘルダーの不等式を適用するために重要です。なんと凸結合の係数\(t, 1-t\) の逆数\(\frac{1}{t}, \frac{1}{1-t}\)は、共役指数になるんです!!

証明

任意に\(\alpha, \beta \in [p, q]\) をとります。次に任意に\(t \in (0, 1)\) をとります。

\begin{align*} t + (1 – t) = 1\end{align*} であることから、\(\frac{1}{t} , \frac{1}{1-t}\) は共役指数です(つまり、逆数の和が\(1\))。

従って、ヘルダーの不等式を用いると

\begin{align*} \left( \int_{\mathbb R^n} |f|^{t\alpha + (1 -t )\beta} dx \right) &= \left( \int_{\mathbb R^n} |f|^{t\alpha}|f|^{(1 -t )\beta} dx \right) \\&\leq \left(\int_{\mathbb R^n} |f|^{t\alpha \frac{1}{t}} \right)^t\left(\int_{\mathbb R^n} |f|^{(1 -t)\beta \frac{1}{1 – t}} \right)^{(1-t)} \\&= \left(\int_{\mathbb R^n} |f|^{\alpha} \right)^t\left(\int_{\mathbb R^n} |f|^{\beta} \right)^{(1-t)} \end{align*}

が成り立ちます。対数をとることで、

\begin{align*} \log \left( \int_{\mathbb R^n} |f|^{t\alpha + (1 -t )\beta} dx \right) \leq t \left( \int_{\mathbb R^n} |f|^\alpha dx \right) + (1 -t) \left( \int_{\mathbb R^n} |f|^\beta dx \right) \end{align*}

が成り立ちます。これはすなわち\(\varphi_f (r)\) が\([p, q]\) 上の凸関数であることを意味します。

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上記の記事ではp乗可積分性とq乗可積分性からr乗可積分性が従うことを証明していますが、今回の命題の中でやったようにヘルダーの不等式を用いることで同じことを示すことができます。

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