二項分布が再生性をもつことを積率母関数を用いて証明する方法を解説

この記事では二項分布が再生性をもつことを積率母関数を用いて証明する方法を解説します。

命題: 二項分布の再生性

\(X\)をパラメータ\(n, p\)の二項分布\(Bin(n, p)\)に従う確率変数とし、
\(Y\)をパラメータ\(m, p\)の二項分布\(Bin(m, p)\)に従う確率変数とします。
\(X, Y\)は独立であるとします。
このとき、\(X + Y\)はパラメータ\(n + m, p\)の二項分布\(Bin(n + m, p)\)に従います。

このことを実際に確認してみましょう。
\(X\)はパラメータ\(n, p\)の二項分布\(Bin(n, p)\)に従う確率変数ですので、
\(X\)の積率母関数は、
\begin{align*}M_{X}(t) = E(e^{tX}) = \left(p e^t + (1-p) \right)^n \end{align*}
でした。
\(Y\)はパラメータ\(m, p\)の二項分布\(Bin(m, p)\)に従う確率変数ですので、
\(Y\)の積率母関数は、
\begin{align*}M_{Y}(t) = E(e^{tY}) = \left(p e^t + (1-p) \right)^m \end{align*}
です。
従って、\(X + Y\)の積率母関数は、
\begin{align*} &M_{X+Y}(t)
\\&= E(e^{t(X +Y)})
\\&= E(e^{tX} e^{tY}) )
\\&=M_{X}(t) \cdot M_{Y}(t)
\\&= \left(p e^t + (1-p) \right)^n \cdot \left(p e^t + (1-p) \right)^m
\\&= \left(p e^t + (1-p) \right)^{n+m} \end{align*}
と求めることができます。
これは、パラメータ\(n+m, p\)の二項分布の積率母関数ですので、
\begin{align*} X + Y \sim Bin(n + m, p)\end{align*}
であることが示されました。

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