二項分布が単峰性(unimodality)を満たすことを証明します。
まず単峰性の定義を確認しましょう。
離散型の確率変数\(X\)は、
\begin{align*} P(X = 0) \leq P(X = 1) \leq \cdots \leq P(X = k) \geq P(X = k+1) \geq \cdots \geq P(n) \end{align*}
を満たす\(k\)が存在するとき、単峰性(unimodality)を満たすといいます。
早速結論ですが、
二項分布に従う確率変数\(X \sim Bin(n,p)\)は、単峰性を満たします。
\begin{align*} P(X = k ) \geq P(X = k+1) \Leftrightarrow \frac{P(X = k+1)}{P(X = k)} \leq 1 \end{align*}
であることを念頭において考えていきます。
\(X \sim Bin(n, p)\)とします。
\begin{align*} P(X = k) = {}_{n}C_k p^k \left( 1 – p \right)^{n-k} \end{align*}
であるので、
\begin{align*} \frac{P(X = k+1)}{P(X = k)} &= \frac{{}_{n}C_{k+1} p^{k+1} \left( 1 – p \right)^{n-k-1} }{{}_{n}C_k p^k \left( 1 – p \right)^{n-k}} \\&= \frac{ \frac{n!}{{(k+1)! {(n-k-1)!}} }p^{k+1} \left( 1 – p \right)^{n-k-1} }{\frac{n!}{{(k)! {(n-k)!}} } p^{k} \left( 1 – p \right)^{n-k}} \\&= \frac{n-k}{k+1} \frac{p}{1 – p}\end{align*}
と計算することができます。
従って、
\begin{align*} P(X = k ) \geq P(X = k+1) \Leftrightarrow \frac{P(X = k+1)}{P(X = k)} \leq 1 \end{align*}
は、
\begin{align*} P(X = k ) \geq P(X = k+1) \Leftrightarrow \frac{n-k}{k+1} \frac{p}{1 – p} \leq 1 \end{align*}
と書き換えることができます。
\(\frac{p}{1 – p}は\)latex k$によらず一定であるので、
\begin{align*} \frac{n-k}{k +1}\end{align*}
に着目することにします。
すると、分子が単調減少、分母が単調増大なので、
\begin{align*} \frac{n-k}{k +1}\end{align*}
は単調減少です。
つまり、
\begin{align*}\frac{n-k}{k+1} \frac{p}{1 – p} \end{align*}
も単調減少であることがわかります。
というわけで、
\begin{align*}\frac{P(X = k+1)}{P(X = k)} \left(= \frac{n-k}{k+1} \frac{p}{1 – p} \right) \end{align*}
は単調減少なので、途中までは
\begin{align*}P(X = k ) \leq P(X = k+1) \end{align*}
で、適当な\(k\)以降は
\begin{align*} P(X = k ) \geq P(X = k+1) \end{align*}
であることがわかります。
従って、
\begin{align*} P(X = 0) \leq P(X = 1) \leq \cdots \leq P(X = k) \geq P(X = k+1) \geq \cdots \geq P(n) \end{align*}
を満たす\(k\)が存在することがわかるので、単峰であることがわかります。
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