ハザード関数から生存関数を復元する計算を解説

この記事ではハザード関数から生存関数を導出する方法を解説します。

命題:ハザード関数から生存関数を復元

\(X\)を確率変数、\(h\)を\(X\)のハザード関数、\(S\)を\(X\)の生存関数とする。
このとき、
\begin{align*}S(x) = e^{ – \int_{-\infty}^x h(\xi)d\xi } \end{align*}
である。

このことを確かめてみましょう。
ハザード関数とは、\(f\)を\(X\)の確率密度関数として、
\begin{align*} h(x) = \frac{f(x)}{S(x)} \end{align*}
により定義される関数であったことを思い出しておきます。
また、生存関数は、
\begin{align*} S(x) = P(X > x)\end{align*}
であったことも思い出しておきます。
ここで、生存関数は、\(X\)の累積分布関数を\(F\)で表記することにすると、
\begin{align*} S(x) = 1 – F(x)\end{align*}
となりますので、微分をすることで、
\begin{align*} S^\prime(x) = f(x) \end{align*}
であることがわかります。これを踏まえてハザード関数を書き換えると、
\begin{align*} h(x) = \frac{f(x)}{S(x)} = – \frac{S^\prime(x)}{S(x)} = – \frac{d}{dx} \log S(x)\end{align*}
であることがわかります。
従って、
\begin{align*} \int_{- \infty} ^x h(\xi) d \xi
&= – \int_{-\infty} ^x \frac{d}{d\xi} \log S(\xi) d \xi
\\&= – \log {S(\xi)} \mid_{-\infty}^x
\\&= – \log {S(x)} + 0\end{align*}
となります。最後の等号で、\(\lim_{x \rightarrow -\infty } S(x) = 1\)であることを用いました。
つまり、
\begin{align*} \int_{-\infty}^x h(\xi) d \xi = – \log {S(x)}\end{align*}
なので、
\begin{align*} S(x) = e^{ – \int_{-\infty}^x h(\xi)d\xi } \end{align*}
であることが分かりました。

おまけ:ハザード関数から確率密度関数を復元する

生存関数から確率密度関数を導出できるのは明らかなので、
ハザード関数から確率密度関数を導出できます。具体的には、
\(S(x)\)がもとまれば、\(F(x) = 1 – S(x)\)なので、
\begin{align*} \partial_x F(x) =f(x) \end{align*}
より、確率密度関数を導出できます。

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