この記事では、正規分布が再生性をもつことの証明をします。
\(X, Y\)をそれぞれ独立な正規分布\(N(\mu_1, \sigma_1^2), N(\mu_2, \sigma_2^2)\)に従うとします。
つまり、
\begin{align*} X \sim N(\mu_1, \sigma_1^2),\quad Y \sim N(\mu_2, \sigma_2^2)\end{align*}
です。
このとき、
\(X \sim N(\mu_1, \sigma_1^2),\quad Y \sim N(\mu_2, \sigma_2^2)\)とすると、
\begin{align*} X + Y \sim N(\mu_1 + \mu_2 , \sigma_1^2 + \sigma_2^2)\end{align*}
が成り立ちます。(つまり、正規分布は再生性をもちます。)
このことを実際に証明してみましょう。
畳み込みで実際に\(X+Y\)の確率密度関数を求めることも可能ですが、今回は積率母関数に着目します。
正規分布に従う確率変数\(X \sim N(\mu_1, \sigma_1^2)\)の積率母関数は、
\begin{align*} M_X(t) = E(e^{tX}) = e^{t\mu_1 + \frac{t^2}{2}\sigma_1^2}\end{align*}
でした。
この計算は別の記事で行なっていますが、一旦は認めて大丈夫です。
また同様に、
正規分布に従う確率変数\(Y \sim N(\mu_2, \sigma_2^2)\)の積率母関数は、
\begin{align*} M_X(t) = E(e^{tX}) = e^{t\mu_2 + \frac{t^2}{2}\sigma_2^2}\end{align*}
です。
そこで、\(X+Y\)の積率母関数を求めると、
\begin{align*} &M_{X+Y}(t) \\&= E(e^{t (X+Y)})
\\&= E(e^{tX} e^{tY})
\\&= E(e^{tX})E(e^{tY})
\\&= e^{t\mu_1 + \frac{t^2}{2}\sigma_1^2}e^{t\mu_2 + \frac{t^2}{2}\sigma_2^2}
\\&= e-{t(\mu_1 + \mu_2) + \frac{t^2}{2} \left(\sigma_1^2 + \sigma_2^2 \right)} \end{align*}
であることがわかります。
これは平均\(\mu_1 + \mu_2\), 分散\(\sigma_1^2 + \sigma_2^2\)の正規分布の積率母関数の形になっているのでつまり、
\begin{align*} X+Y \sim N(\mu_1 + \mu_2, \sigma_1^2 + \sigma_2^2) \end{align*}
であることがわかりました。
いかがでしたでしょうか。
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