指数分布の和がアーラン分布であることの証明をわかりやすく解説

この記事では指数分布の和がアーラン分布であることを証明します。

まずはじめに、アーラン分布について思い出しておきます。

定義:アーラン分布

正の整数\(k\)と正の実数\(\mu\)をパラメータとするアーラン分布とは、
確率密度関数
\begin{align*} f(x) = \begin{cases} \frac{\left(\frac{1}{\mu} \right)^k x^{k-1}e^{- \frac{1}{\mu}x}}{\Gamma(k)} &(x \geq 0 ) \\ 0 & (\text{otherwise}) \end{cases}\end{align*}
により定まる分布でした。

次に、指数分布の確率密度関数を思い出すと、

定義:指数分布

平均が\(\mu\)である指数分布とは、
確率密度関数
\begin{align*} f(x) = \begin{cases} \frac{1}{\lambda } e^{- \frac{1}{\mu} x} &(x \geq 0 ) \\ 0 & (\text{otherwise}) \end{cases}\end{align*}
により定まる分布でした。

次の事実を確認します。

命題

平均が同じ指数分布の(2つ以上の)和は、アーラン分布に従う。

このことは簡単に確認できます。
平均が\(\mu\)である指数分布は、ガンマ分布\(\Gamma(1, \frac{1}{\mu})\)と一致します。
また、正の整数\(k\)と正の実数\(\mu\)をパラメータとするアーラン分布は、ガンマ分布\(\Gamma(k, \frac{1}{\mu})\)と一致していることが、よく見るとわかると思います。

指数分布の和は、つまりガンマ分布の和と思うことができます。
ガンマ分布の和は、ガンマ分布の再生性からガンマ分布でした。
この事実については以下の記事の中で解説しています。

従って、\(X, Y\)がともに平均が\(\mu\)である指数分布に従うとします。
つまり\(X, Y \sim \Gamma(1, \frac{1}{\mu})\)です。
ガンマ分布の再生性から
\begin{align*} X + Y \sim \Gamma(2, \frac{1}{\mu}) \end{align*}
となります。

また同様に\(X_1, \ldots, X_k\)を全て平均が\(\mu\)である指数分布とすると、
\begin{align*} \sum_{i = 1}^k X_i \sim \Gamma(k, \frac{1}{\mu})\end{align*}
となります。

これは紛れもなく、指数分布の和がアーラン分布であることを意味していることがわかります。

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