対称な山型キャッシュフローの現在価値の計算方法を解説

ビジネスや投資の世界では、キャッシュフローのパターンはさまざまです。
その中でも、支払い金額が期間の経過とともに増加し、その後減少する「山型キャッシュフロー」は特異なパターンとして知られています。
現実の世界で綺麗に山型キャッシュフローとなることはほとんどないですが、投資理論に習熟するという意味でこの山型キャッシュフローの現在価値を計算することには一定の意味があるといえるでしょう。
本記事では、対称な山型キャッシュフローの現在価値をどのように計算するかを解説します。

まず、山型キャッシュフローとは、各期のキャッシュフローが以下の通りであるものです。

\begin{align*} 1, 2, 3, \ldots, n-1, n, n-1, \ldots, 2, 1, 0, \ldots \end{align*}

ここで、これらは全て各期末に発生しているとしましょう。
すると、現在価値は、純粋に計算しようとすると、各期の利率を\(i\)として、割引率を\(v= \frac{1}{1 + i}\)と表記することにすると、
\begin{align*} v + v^2 2 + v^3 3 + \cdots + v^{n-1} (n-1) + v^n n + v^{n-1}(n-1) + \cdots + v \end{align*}
となります。もちろん腕力で計算してしまうことはできますが、個人的に一番見やすい形に直してみます。

\begin{align*} 1, 2, 3, \ldots, n-1, n, n-1, \ldots, 2, 1, 0, \ldots \end{align*}
を、
各期末に、期始払い\(n\)期間の年金が発生し、それが足し合わさっていると考えることにします。
すると、
\begin{align*} &v + v^2 2 + v^3 3 + \cdots + v^{n-1} (n-1) + v^n n + v^{n-1}(n-1) + \cdots + v
\\&= \left(v + v^2 + v^3 + \cdots v^n \right) \\&\quad + v \left(v + v^2 + v^3 + \cdots v^n \right) \\&\quad + v^2 \left(v + v^2 + v^3 + \cdots v^n \right) \\&\quad + \cdots + v^{n-1}\left(v + v^2 + v^3 + \cdots v^n \right)\\&= \left(1 + v + \cdots + v^{n-1} \right) \left(v + v^2 + v^3 + \cdots v^n \right) \end{align*}
と変形することができます。つまり、このキャッシュフローの現在価値は
\begin{align*} \frac{1}{v}\frac{1 – v^n}{i} \cdot \frac{1 – v^n}{i}\end{align*}
となります。仮にこれを、\(n\)期間期末払い1円の年金の現在価値を\(a_n\)で表記することにすると、
\begin{align*} \frac{1}{v}a_n^2 \end{align*}
と書くことができます。

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