積のボレル集合体とボレル集合体の積は、確率論や測度論における重要な概念である。ここで、「積のボレル集合体」とは、ふたつの位相空間の直積上におけるボレル集合の族を意味し、「ボレル集合体の積」は、それぞれの空間のボレル集合体のある種の積として定義される。
これら二つの概念は、一般的には異なるが、特定の条件の下で一致する。それは、各位相空間が第二可算(second-countable)である場合である。
積のボレル集合体とボレル集合体の積はいつ一致するか
定義と設定
ふたつの可測空間\((X, \mathcal F_X), (Y, \mathcal F_Y)\) に対して、\(X\times Y\) 上の\(\sigma\)代数
\begin{align*} \mathcal F_X \otimes \mathcal F_Y \end{align*}
を
\begin{align*} \mathcal F_X \otimes \mathcal F_Y = \sigma(\{ E \times F \mid E \in \mathcal F_X , F \in \mathcal F_Y \} )\end{align*}
で定めることにします。
そして、位相空間\(X = (X, Top(X) )\) のボレル集合体を\(\mathcal B(X)\) で表すことにします。
位相空間\(X, Y\) が第二可算ならば
\begin{align*} \mathcal B(X \times Y) = \mathcal B(X) \otimes \mathcal B(Y) \end{align*}
が成り立つ。
証明を書きます。
まず、包含関係 \(\subset\) を示します。 任意の開集合 \(O \in \text{Top}(X \times Y)\) に対して、\(X, Y\) が第二可算なので\(U_i \in Top(X), V_j \in Top(Y)\) を用いて \(O = \bigcup_{(i, j) \in \mathbb N\times \mathbb N} (U_i \times V_j)\) と表すことができます。
これは \(\sigma(\{U \times V |U \in \mathcal{B}(X), V \in \mathcal{B}(Y) \})\) に属します。したがって、
\begin{align*} \text{Top}(X \times Y) \subset \sigma( \{U \times V|U \in \mathcal{B}(X), V \in \mathcal{B}(Y) \}) \end{align*}
であるので、
\begin{align*} \sigma(\text{Top}(X \times Y)) \subset \sigma( \{U \times V|U \in \mathcal{B}(X), V \in \mathcal{B}(Y) \}) \end{align*}
となります。
次に、包含関係 \(\supset\) を示します。
\(X\) の任意の開集合 \(A\) に対して、\(A \in \{A \subseteq X \mid A \times Y \in \mathcal{B}(X \times Y)\}\) です。したがって、\(\text{Top}(X) \subset \{A \subset X \mid A \times Y \in \mathcal{B}(X \times Y)\}\)(これは明らかに \(\sigma\)-代数)です。
従って、
\begin{align*} \mathcal B (X) \subset \{A \subset X \mid A \times Y \in \mathcal{B}(X \times Y)\} \end{align*}
したがって、任意に\(A \times B \in \{A \times B \mid A \in \mathcal{B }(X), B \in \mathcal{B}(Y)\}\) をとります。
\(A \times B = A \times Y \cap X \times B\) であり、\(A \times Y\) および \(X \times B\) が \(\mathcal{B}(X \times Y)\) に属するため、\(A \times B \in \mathcal{B}(X \times Y)\) です。
これにより、\(\{A \times B \mid A \in \mathcal{B}(X), B \in \mathcal{B}(Y) \} \subset \mathcal{B}(X \times Y)\) です。ですので、
\begin{align*}\sigma(\{A \times B \mid A \in \mathcal{B}(X), B \in \mathcal{B}(Y) \}) \subset \mathcal{B}(X \times Y) \end{align*}
です。
これで証明が完了します。
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